キミに真心をこめて
『渚、自分の部屋に行ってなさい。お母さん、佐瀬君と二人でお話がしたいの。』
優しい口調でそう言うと、渚は素直に言う事を聞いて、二階にある自分の部屋へ行った。
リビングにはついに、俺と遥の母親、二人きりになった。
ますます気まずい、この空気。
『あのー…。おじさんは??』
今日は土曜日。遥のお父さんは仕事が休みでもおかしくはない。
『今日は出張でいないのよ。最近仕事忙しいみたいで…。』
そう言うと、遥の母親はまた紅茶を一口すする。
“お父さん”は不在か…。安心したな。今ここで父親にまであったら、俺の心搏数は一気に上がって、心臓が破裂するだろうな。
『佐瀬君。正直、私はもう誰にも遥を会わせないつもりだったの。』
会わせない??やっぱり遥は生きていたのか。