キミに真心をこめて

『朝お前を先に行かせて、俺財布を取りにチャリのとこへ戻っただろ??』


一つ一つを思い出しながら、ゆっくりと話し始める。


春でまだそんな暑くない季節なのに、額に汗が滲んでるのがわかる。


『そしたら…いたんだよ。俺のチャリのとこに。』


『あー…朝っぱらからお化けでも見たのか??』


『違う!!!!!』


思わず大声で怒鳴ってしまった。


慌てて口を塞ぐと、洋平は驚いていて、教室にいる何人かの奴らは、こっちを見ている。


『ごめん。』


俺たちの間に気まずい空気が流れて、話を再開するタイミングを逃してしまった。


『いや、俺こそふがけてごめん。で、何がいたんだ??』


俺はまた大きく深呼吸をすると、隣にいる洋平を真っすぐ見て告げた。


『遥がいたんだ。』

< 11 / 130 >

この作品をシェア

pagetop