キミに真心をこめて
『この街に引っ越してきて、しばらくしてから遥はずっとこんな調子よ。』
ずっとー…??
『今の遥は話す事が出来ないし、自分で食べ物を食べることも出来ないわ。』
よく見ると、遥の横には点滴がある。
『歩く事も、字を書く事もね。』
ん??今、なんて言った??
『字を…書く事もですか??』
自分の耳を疑った。ありえないと思った。
だって、俺が今ここにいるのは遥から手紙がきたからなのにー…。
遥が字を書けないなら、あの手紙は一体誰が書いたんだ??
俺は握り締めていた、手紙を見た。
書かれているのは、やっぱり遥の字。
字が書けないなんて、ありえないだろー…。
『騙すような事をして悪かったわ。』
『おばさん…。これは一体、どういう事ですか!?』
遥の母親は俺から視線を外すと、静に言った。
『あの手紙を書いたのは、私なの。』