キミに真心をこめて
あれは中学三年生の六月末。
雨で空気がジトジトしている季節だった。
『遥…。大丈夫??学校まで送っていこうか??』
『ん、大丈夫だよ。友達もいるし平気!!』
この頃の遥は、ストーカーみたいなものにあっていた。
携帯電話にかかってくる無言電話。
背後から付けられている、不気味な気配。
たまに盗まれている下着。
ポストに入れられている、不気味な文面の手紙。
どれも悪質で、遥を精神的に追い詰めるには十分だった。
『遥がストーカーにあってたって…。俺、そんな話初めて聞いたんですけど…。』
『佐瀬君に心配かけたくなかったのよ。だからあの子、佐瀬君の前では無理にでも明るく振る舞ってたと思うは。』
言われてみれば、その頃の遥を思い出しても、明るく元気で、笑顔の遥しか思い浮かばない。
あの時の遥が苦しんでいたなんて
一体誰が想像できただろうー…??