キミに真心をこめて
『遥姉ちゃん遅いね。今日は六時には帰るって言ってたのに。』
この日、遥は委員会の仕事があるから、六時には帰ると言っていた。
だが八時を過ぎても、遥は帰ってこなかった。
『やっぱりさぁ、迎えに行った方が良かったんじゃない??遥姉ちゃん、最近変な人に狙われてるんでしょ??』
『渚、それは駄目なの。遥が嫌がるからね。』
母親が学校に迎えにきたら、周りに変な目で見られるから。
こう言って、遥は送り迎えをひたすら拒んでいた。
遥自身も、こんな事言ってる場合じゃないと思ってただろうけど、年ごろの女の子だ。
自分の身は自分で守ると思っていたのだろう。
『でも遅すぎるわね…。お母さん、ちょっとその辺見てくるわ。』
そう言って、身に付けていたエプロンをほどいたときだった。
トゥルルルルー トゥルルルルー
一本の電話が掛かってきた。