キミに真心をこめて

おばさんが警察署に入った頃には、時間は夜八時半を回っていた。


中は暗く、あまり活気が無い。そんな印象を受けたそうだ。


こんな所に遥が…。早く家に連れて帰ってあげなきゃ。


遥に会うまで、ただひたすらそんな事を考えていた。


『ここです。この部屋にお嬢さんはいます。』


『ここにー…??』


部屋のドアには“生活安全課”と書かれていた。
恐る恐るドアのぶに手を掛けると、ゆっくりと扉を開いた。


響き渡る金属音、中から差し込む眩しい光。


そして、目の前にいる遥。

『……………!!遥!!』


おばさんは真っ先に遥に駆け寄り、抱き締めようとした。


けど、かえってきたのは思っていたのとは違う反応。


『…や………嫌ぁぁぁ!!触らないで!!触らないで!!嫌っっ!!』


それは今まで見たことの無い遥の姿だった。


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