キミに真心をこめて

このとき何もかも悟った。


度重なるストーカー、レイプ。


遥は生きているけど、死んでしまった。
物事を考えたり、気持ちを受けとめたり、伝えようとするものが。


心が死んでしまったのだと。


それから、ベットの上での生活の始まり。


大体は寝ているらしいが、天気の良い日は体を起こし、窓から外の景色を見ている。


食事は点滴か、柔らかい離乳食みたいな物を食べさせている。
運動もしてないし、体が衰えたのだろう。
堅いものを噛む力がほとんど残っていないらしい。


こっちが何度話し掛けても応えることも、振り向くことも無い。


ただそんな遥でも、毎晩八時に風呂には入る。
なぜかこの時だけは、ちゃんと歩くし、自分一人で行動も出来る。


精神科医が言うには、レイプされた自分の体を少しでも綺麗にしたい。


その気持ちが無意識のうちに遥を動かしているそうだ。

< 128 / 130 >

この作品をシェア

pagetop