キミに真心をこめて

遥はとある事情で、俺たちが住んでいるところから新幹線で五時間かかる、遠い街に住んでいる。


そしてその街からは一歩も出れない。


とくに、遥一人でここまで来るなんて絶対に不可能なんだ。


やっぱり、俺の見間違いなのか…。


『見間違い…だろ。俺はその場にいたわけじゃねぇし、見たわけじゃないから何とも言えないけど。』



洋平の言いたいことはわかる。


遥がこの街にいるのは絶対にありえないんだ。


だったら、やっばりあれは遥のそっくりさんか、俺の遥に会いたいって気持ちが見せた幻なのか…。


今思い返すと、確かにあれは人というよりは、実態の無い幻に近い感じがした。


幻…か。

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