キミに真心をこめて
『もしかして君も三組の人??』
入学式に緊張している俺に、話し掛けてきたのは遥だった。
中学生といっても、ほんの数ヶ月前まではランドセルを背負っていた小学生。
だけど遥は他の子と違い、どこか大人っぽい雰囲気をしていた。
人形のような大きくて丸い目。
白い肌に、よく映える長くて黒い髪。
確かこの時の遥は、髪を二つに結んでいた。
『うん、三組だよ。君も??』
俺の目に映った遥があまりにも可愛くて、ドキドキしていたのを覚えている。
『うん!!私、池中遥。遥って呼んで。君は名前なんていうの??』
『俺は佐瀬勇一。勇一でいいよ。よろしくね。』
よろしくと言って、はにかんだ遥の笑顔今でも忘れられない。