キミに真心をこめて
『勇一!!』
やけに馬鹿でかい声で、誰かが俺の名前を呼んだ。
なんだよ、人がせっかく爽やかな朝を迎えてたのに。
雰囲気ぶち壊しだろ…。
そんなことを考えつつ、後ろを振り返ると
『なんだ、洋平じゃん。おはよ。』
いたのは津村洋平。
同じ学校に通う幼なじみ。
幼なじみであり、親友であり、クラスメイトであり、兄弟みたいな存在。
俺のことをよく理解していて、天真爛漫で明るくて良い奴。
『お前なぁ、なんだは無いだろ。朝練無いから迎えにこいって行ったの勇一だろ。』
『だっけ??悪い、忘れてたわ。』
洋平は相変わらず、でかい声でひでぇとか言うもんだから、学校着いたらジュースを奢るといってなだめた。
『よし、行くぞ、勇一!!』
そう叫ぶと、洋平は勢い良くチャリを扱ぎ、どんどん見えなくなっていく。
あいつ“奢り”って言葉に弱いからなぁ。
俺は洋平に置いていかれないように、朝練行くときと同じスピードを出した。
ワイシャツが汗ばむのを感じた。