キミに真心をこめて

『ただいまー…。』


家の中に入ると、包丁の音と微かにする夕食の匂い。


もう夕飯の準備をしているんだろうか。


『母さん、もう夕飯の準備してんの??』


台所へ行くと、母さんはキャベツを切っていた。


『あら勇一、今日は早いわね。部活はどうしたの??』


母さんは手を止めると、珍しく帰りが早い俺に驚いた様子。


いつもだと、帰りは夜九時過ぎるしな。


『ちょっと具合悪くて、部活休んだ。』


夕飯の匂いが漂う台所に立つのも、やっとだ。


『あらぁ〜…熱はないみたいね。』


額に触れた母さんの手は冷たくて、気持ち良かった。

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