キミに真心をこめて

遥が引っ越した理由があるならば、俺だって聞きたいくらいだ。


思わず目で洋平にそう言うと、洋平は気まずそうにそっぽを向いた。


『……それにしても、何で二人揃って同じ夢見てるんだろうなぁ。』


ため息交じりに言うと、洋平は無言で頷く。


これは遥自身に何かがあったっていうメッセージなのだろうか。


『なぁ、俺前から気になってたんだけど、お前遥と電話はしねぇの??』


電話…か。


『電話はしない。声を聞けば会いたくなるから…。電話は我慢して手紙にしようって、それが俺たちの約束なんだ。』


今となれば、遥から返事もこないし約束もなにもないんだけどな。


そうか…と洋平が静かに頷くと、俺たちの間にはまた無言の空気が流れた。


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