キミに真心をこめて

何で俺に何も言わずに言ったのだろう。


遥が転校手続きをした前の日は、一緒に帰ったんだ。


あいつは帰りぎわ、いつもの笑顔で『また明日ね』


そう言ったのに。


先生は一通り説明すると、静かに俺のところへ近寄ってきた。


『佐瀬くん。これは、池中さんから預かった貴方への手紙です。』


差し出されたのは、白い便箋に“勇一へ”と書かれた手紙。


俺はそれを受け取ると、思わずその場で封を開けてしまった。


周りの皆の視線が気になったが、そんなのも気にせず、貪るように読んだ。

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