キミに真心をこめて
少し茶髪になった髪、薄いメーク。
中学の頃より少しは変わったが、間違いなく今俺たちが探している猪股だ。
どうする…。話し掛けるかー…。
渦中の人物が目の前にいるんだ。これはきっと、神様がくれたチャンス。
椅子から立ち上がった、そのとき
『ゆーうーいーちっ。お待たせ。』
右手に俺の定食、左手にラーメンを持った洋平が、今からって時に戻ってきてしまった。
視線を一瞬、猪股から外してしまった。すぐに視線を戻すと、もう猪股はその場からいなくなっていた。
『ん、どうした??』
どうしたじゃねぇよ!!変なタイミングで戻ってきやがって。
俺は頼んでいた定食代を洋平に乱暴に渡すと、貪るように食いはじめる。