キミに真心をこめて

『わかってるっつーの!!…って、あれ??』


無い。


『あ??どうしたー。』


無い。


『財布がねぇ…。』


鞄のなかに見当たらない。


前はポケットの中に財布を入れてたが、一度落としたことがあるから、それ以来財布は鞄の中に入れるようなしていた。


『はぁ!?まぢで!?お前よく落とすなぁ。』


洋平は度々財布を無くす俺に感心している模様。


『鞄開けっぱなしでチャリ乗ってたから、多分カゴの中かも。』


俺はポケットにかろうじて入っていた百円を出すと


『ちょっと見てくるわ。先行ってて。はい、コーラ代。』


洋平に勢い良く投げた。


『サンキュー。先生には適当に言っとくけど、なるべく早く来いよ。』


コーラ代を手にした洋平は、一緒に探すよという一言もなく、浮き足で学校へ向かっていった。

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