キミに真心をこめて
『勇一〜!!悪い悪い、ちょっとトイレ行ってたわ。』
ポケットに手を突っ込みながら、洋平はのたくたと歩いてくる。
『……………あれ??』
そんな洋平も猪股の存在に気付いたのか、探していた人物が目の前にいるにも関わらず、目を丸くしている。
とりあえず…
『猪股さん。話があるんだけどいい??』
俺が言うと、彼女は静かに首を縦に振ってくれた。
もう昼休みも終わる時間だったが、猪股咲季が“五時間目は怠いからサボる”と行ったので、屋上で話すことにした。
俺たち前を歩き、猪股咲季が後ろから着いてきた。
俺は猪股に気付かれないよう、小声で洋平に話し掛けた
『おい、洋平!!トイレに行くなら一言言ってけよな!!猪股には見つかるし、お前はいないしで、素で焦っただろうが!!』
『悪い。我慢できなくてさぁ。』
我慢できないって…小学生かよ。