キミに真心をこめて

俺は猪股をフェンスに叩きつけ、胸ぐらをつかんでいる。


女相手にこんなことするのは間違ってる。格好悪い。


けど、どうしても許せない。


『猪股…遥と仲良かったよな!?俺が帰れない日は必ず遥と帰ってたよな!?一緒に遊んだり、勉強会もしたんだろ!!』


遥は友達と遊んだりすると、必ず俺に報告してきていた。


楽しそうに、嬉しそうに。


『俺が担任から手紙受け取ったとき、お前泣きながら“遥なんだって??”って聞いてきただろ!!なのに何で笑ったりするんだよ!!普通悲しむだろ!!』


散々怒鳴った。胸ぐらをつかむ腕に、力が入っているのがわかる。


けどここで、あることに気付いた。


こいつ、顔色一つ変えない。


涼しい顔をして俺を見てる。


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