キミに真心をこめて
第二章
風の便り
猪股咲季との出来事から一週間が過ぎた。
この一週間、毎日ポストを覗いたけど、来るのはダイレクトメールばかり。
相変わらず遥から手紙はこなかった。
俺は毎日“あ、この事遥に手紙で教えてやろう”とか、そんな事ばかり考えていた。
『勇一、明日は練習試合だろ。頑張れよ。』
『おう!!ありがとな!!』
放課後、部活行く前に洋平に応援の言葉を貰いつつ俺は道場へ向かう。
明日は入学して初めての練習試合だからなぁ。気合い入れて頑張らなきゃな!!
俺がそんな事を考えているときだった。
『佐瀬君。』
聞こえてきたのは、俺の名前を呼ぶ猪股の声だった。