キミに真心をこめて
もうその子は目と鼻の先にいる。


勇気を出して、声を掛けようと思ったその時だった


ガタンッッ


『い、痛っっっ!!』


足元にあった石に見事につまづいてしまった。


間抜けにもほどがあるだろ…。


てか、今声だしちゃったよなぁ。


絶対気付かれた…。


慌てて彼女の方に視線を戻すと


『いない…。』


彼女はどこを見渡してもいなくて


代わりにカゴの中には俺の財布が入ってあった。


もしかして、今の子はあいつに似た幽霊…??


一瞬で恐くなった俺は、財布を持ち慌てて校舎へと走っていった。


今思えば、何で俺はこの時後ろを振り返らなかったんだろう。


恐いって気持ちもあったかもしれないけど


振り返っていれば、違う未来が待っていたかもしれなかったのに…。

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