no title
「一一一という訳で、充実した学校生活を一一………」
だだっ広い体育館の舞台の上で、新入生感激の挨拶をしているのは、確かこの青波学園の生徒会長だった、気がする。
何やら熱く語っているらしいが、そんなのちっとも、私の頭には入ってこない。
その理由は、ちくちくと私に突き刺さる、沢山の視線のせい。
「…もうヤダ、転校したい」
「まだ入学したばっかりじゃねぇか」
「だって…」
はぁ…、と溜め息を吐くと、苦笑を零す幼なじみ、
賢太の大きな掌が私の頭を撫でた。
その掌がやけに優しくて、私は俯く。
なんで男子ばっかなの。
入試の時、結構女の子いたじゃん。
合格発表の時も喜んでる女の子いっぱいいたじゃん。
いや、女の子も女の子で苦手なんだけどさ。
でも、なんで。
"本年度の女子生徒の入学人数、1名"
これは一体、どうゆうことよ。