隣の男はよく見える

「さくらさんに会いたかったんで、
僕が受け取りに行きますって言ったんです。」


キョトンとする私に向かって、

もう一度駿くんはそう言った。


何と答えたらいい?



軽く受け流す?

必要以上に喜ぶ?

それとも無視する?



取り合えず・・・


「そ・・・そうなんだ。」

とだけ言って

静のカバンを渡そうとするが、


「さくらさん、お昼まだですよね。
一緒にどうですか?」


駿くんはカバンを受け取らずにもう歩き出していた。


「あ・ちょっと・・・駿くん?」


受け取ってくれないカバンを持ったまま後について行く。



「これ、静に持って行かないと・・・。」

「大丈夫ですよ。
神崎先生なら今日の授業は午後からだし、
今は女子生徒に囲まれて忙しいだけですから。」



女子生徒に囲まれて忙しい?


なんだ?それは?


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