隣の男はよく見える

『近くまで来てるからランチでもどう?』


そんな親友からの電話にお昼は外出--





「やっぱり彼が『総ちゃん』だったでしょ?」


自身満々に親友のあかりが言った。


「うん。向こうも分かってた。」

「でしょ。静くんを弟だってすぐに認識したり、
『さくらちゃん』なんて柄じゃないのにそんな呼び方するし・・・。」



私は『さくらちゃん』なんて可愛い女じゃ無いって?



「見てこれ。小暮くんの海外出張のお土産貰っちゃった。」


ジマンゲに小暮くんからもらったバックを見せた。


が・・・



「それって限定ものだよね?」

「そうそう。すごくない?」

「すごいって言うより・・・。」


「何?」


「うんん・・・何でもない。
よかったね。」

「うん。
何かちょっと愛を感じちゃった。」



浮れてた


みんなが示した反応の理由


なんて・・・


気づかずに・・・




いえ・・・

気づいてた・・・

かも

知れない



ただ・・


現実から目を背けてた。



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