隣の男はよく見える
道路にしゃがみ込んで泣いた。



「あさひー!」


思いっきり呼んで・・

もしかしたら旭が戻って来てくれるかもしれないと・・・





でも


旭が戻って来ないことぐらい


子供じゃないから


分ってた




けど




「あさひぃ・・・。」



大人になってこんな風に泣いたの


きっと初めてだった



泣いても泣いても


無理なこと





通り過ぎる人たち

ただの酔っ払いの奇声としか思って無い。



でも


これは失恋した女の


悲しみの叫びなんだから・・・



そんなこと


思ったりした。





「たちばなあさひー!」




返事が返ってくるはずも・・・




無かった






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