隣の男はよく見える
弟―――神崎 静(かんざき せい)
東京の大学の4年生
頭脳明晰、容姿端麗、・・・と
『同じ姉弟にはとても思えない』
と言われるような弟。
とにかく何でも揃っていて、おまけにこれが、姉を姉とも思わないすごい生意気で自分勝手なやつ。
私の一番の天敵・・・
「今日から世話になるから。」
静は、出てくるなりそれだけ言って
人んちの冷蔵庫を勝手に開けてビールを取り出した。
「静、あんた今何て?」
プシュッとビールの缶を開けそれを一口飲んでから静が言った。
「だから、夏休みの間ここに居るから。」
空耳?
私はソファーから起き上がった。
「何言ってんの?」