隣の男はよく見える


親に聞いたら、

『拾って来たのはさくらの方よ。』

と言われる始末・・・。



幼い子供に酷すぎる親。

だけど納得・・・


うちの両親――

父親は、大学教授でかなりその道の権威らしく有名な人。

母親は、高校教師って言ったって市内で一番の進学校の数学教師だ。


頭の良さは親譲りの静。






「実家があるでしょ、実家が!」

「親父は東京だし、お袋は夏期講習で忙しいだろ?邪魔なだけじゃん。」


いつの間にかテレビをつけて私が買ってきた・・・お弁当食べてる静!


「あ~!それ私の夕食!」


父親だけじゃない母親までほとんど家庭を顧みない両親。

だから、短大進学と同時に家を出た。

うちから通える学校だったけど面倒見なくて済むから親は喜んで一人暮らしを許可してくれた。


それから父親は東京の大学に移り単身赴任で実家は母親一人。

私も実家に帰ることなんて滅多にない。




「人の物勝手に食べないで自分で作るか、買って来るかしなさいよ!」


静からお弁当を取り上げようとするが離さない。



「買いに行くの面倒だし、ここんちの冷蔵庫ビールしか入ってないじゃん。」



う、、、、


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