【短】ないしょ
「盗みぎきしたの?」


「大声だから、聞こえたの。盗みぎきなんてしないし」

貴士の顔がもっと近づいてきた。


キス射程内の距離だ。


貴士の顔が、すぐそばにある。


「なんであたしに聞くわけ?他にもいるでしょ?」


「そういえば、そうかも」

貴士が笑った。


「夏子は興味ないの?」


「え?」


「えっちに興味ない?」


興味ないってことは、ないけど…


不意に心がざわついた。


興味が頭をもたげ、あたしは貴士の首に腕を廻し、



「…してみたい」


と呟いた。
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