好きだけどさよなら。

 芸能界という未知の世界に入ってもう4年。

【現役高校生、スーパー16歳!hinata】として雑誌に出始めて、すぐにテレビ局からのオファーがあった。

 そこからの流れはあまりに速くて、あまり覚えていない。 

 気がつくと、普通に友達と出かけることも、買い物をしに街を歩くことも、なにより、普通の恋愛ができなくなっていた。


 「ねえ!hinata、ソロデビューするらしいよ!」

 隣にいた女子高生が、大きな声で友達に伝えた。
 周りが少しザワつき、皆が携帯電話を開く。


 ___そんなの、聞いてない。

 
 私の知らないところで、“私”が作られていく。

 いつも笑顔でいることが当たり前で、少しの弱音も許されなくて、
 何かあるとすぐに報道されて、騒がれて、プライベートもない。


 もう、嫌なんだ。
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