響け、空に―
「それで、今日はどんな用事で?

まさか昔みたいに『トイレ貸してください!』なんて言うんじゃあ…」


「ち、違いますよ!!ていうかあの時のことは忘れてください!!恥ずかしいんですから…。


今日はですね、先生に孝に会ってこいと言われて…」


「ああ…。そうだったのね…。」

美咲さんの顔が少し曇った。


「美咲さん…?」


「あっ…あら、ごめんなさい!!

孝は二階の自分の部屋にいるわ。二人きりで話してらっしゃいな。


笑美子ちゃん、一人で行ける?」


「はい。部屋の位置が変わってないなら…」


「変わってないわ。」
美咲さんは下を向いたまま、か細い声でそう言った。



「じゃあ、行ってきますね。」


「………。」

返事がない。
それに、顔を上げない。


私は不思議に思いながらリビングを出て階段を上った。
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