響け、空に―
「なんとか乗り越えることはできました。

ただ、安心はできません。息子さんの体力が低下しているため、どのくらいもつか…」


「む…息子は?」


「意識は戻っています。面会も五分なら…」


「させてください。」


「こちらへ…」

医師が美咲さんを案内する。

美咲さんに「笑美子ちゃんもよ」と言われたので、私もついて行った。



「あ…れ?おふく…ろ?」

孝は酸素マスクをつけられていて、点滴も打たれていた。

「孝…気分は?」

美咲さんが泣きそうな顔で尋ねると孝は笑いながら


「ん。なんかボーっとしちゃうけど平気だよ。」

と答えた。

孝は唐突に医師の方を向いて


「先生、俺はあと…どのくらいですか?」

そんなことを聞いた。


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