響け、空に―
第十話
その日の放課後…

「笑美子、帰ろうぜ。」


「え…いいけど、皆とは帰らなくていいの?」

クラスの子達はちらちらと孝の方を見ている。


多分、一緒に帰りたいんだろう。

でも、孝は


「いいよ。俺は笑美子と二人で帰りたいんだ。」

そう言いきった。


「…わかった。」

私達は教室を出て、昇降口へと向かった。


その途中

「あの…孝君!!」

違うクラスの子が顔を真っ赤にして孝を呼び止めた。


私は一瞬でこの子が何をしたいのかわかった。

「…どうしたの?」


勘の良い孝が分かってないはずなかった。

「あ、あのちょっといいかな…?」


「孝、行って。私はここで待ってる。

だから………。」

私は孝がこの女の子に答える前にそう言っていた。


「笑美子…本気?」


「正気だし本気。…伝えられないのが一番嫌だって私にもわかる。

孝は、一番一緒に居たい人と過ごせばいいんだよ?」


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