響け、空に―
「でも…それでも私は『お兄ちゃんに代わりはないよね!!』なんて思ってさ。


けど、そんなことをいつまでも母が許す訳がなかった。


そして、私が中一の時の夏に事件は起きたの。

私が家に帰ると、『お母さん』は兄と出掛けてて、私は『ママ』と家でお茶したの。


すると突然、電話が鳴ったのよ。誰からだと思う?」


「………」孝は黙ったまま、首を横に振った。


「警察よ。母と兄が乗っていた車がガードレールに突っ込んだの。


…運転してたのは母。

母は助かって、助手席に座っていた兄は即死。

だって車は助手席側にあったガードレールに突っ込んだんだもの。兄が真っ先に衝撃を受ける。」
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