響け、空に―
「うーん…そうだなぁ。この人は、お母さんとお父さんにとって、大事な人。
恩人なんだ」
「おんじ…?」
「恩人。まぁ大きくなったらお母さんから聞きな」
「うん‼…りんもおはかのひととおはなしするー‼」
俺は凛をゆっくり下ろしてから手を離した。
凛は笑美子の元に走って行って手を合わせた。
笑美子はそんな凛の姿を見てふふっと小さく笑い、俺の傍にやってきた。
「笑美子…もういいのか?」
「うん。たくさん話した。伸こそいいの?」
「ああ。
…今年もちゃんと来れたな。」
「そうだね。よかった…」
「来年も、再来年も…ずっと、ずっと来ような。三人で。」
「うん……って、その約束、守れないかも…」
「笑美子?」
俺は笑美子の顔をのぞく。
「三人じゃ…ないかもよ?」
笑美子が笑いながらそう言う。
「え…本当に?」
「妊娠検査薬で、陽性反応出た」
笑美子は嬉しそうに笑う。
俺も思わず笑美子を抱きしめる。