響け、空に―
「じゃあおやすみ。毛布、ちゃんと掛けてね。」

お袋はコップを持って、電気を消し、出ていった。



暗闇に包まれた部屋の中で目をつぶって、寝ようと努力した。


けど、笑美子の顔が消えない。

特に笑顔が。


……こんなんで俺、明日笑美子に会えんのか?


「ああっくそ!!窓を開けた意味無いじゃん。」

頭をかいて枕元にあった本を適当に開いた。


部屋は暗いから一字も読めないけどいい。

気をまぎらわすためだから。


でも気は全くまぎらわすことが出来なくて、笑美子の顔が消えないまま、眠った。


その日は夢に笑美子が出てきた―――。
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