響け、空に―
カッカッカカッ!!

私が黒板に解き方を書く音が教室中に響く。


皆が私を見ていることもわかる。

私がさっき、ぼ〜っとしていたのが珍しかったのだろう。


カッ!!


問題を解き終わって席に戻ろうとしたらノートに挟んでいた下敷きが、するりと抜けて床に落ちた。



「あっ落ちたよ!!はいっ!!」

拾ってくれた子はクラスで一番優しいと評判の小沼さんだった。


彼女の笑顔が可愛らしくて、つい私もつられてしまった。

「ありがとう」

きっと満面の笑みだったのだろう。

さっきまで静かだった教室が一気に騒がしくなった。

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