紅龍～キミと出逢えた奇跡～

第一章

“空”と空

――死にたい。



何度、そう思ったことか。



実の親には“気持ち悪い”と言われて捨てられ、学校では虐められ、汚い男たちにはレイプされて。



なんで、あたしがこんな思いをしなきゃいけないの？なんで、あたしなの？



何度、そう思ったことか。



…だけどあたしは、死ななかった。



いや、“死ねなかった”んだ。



だって、“お兄ちゃん”と約束したから。




『どんなに辛いことがあっても、笑っていて。絶対に死なないで。…俺の分まで、生きてくれな…』



お兄ちゃん。



あたし、負けないよ。



死にたいって思うけど、絶対自殺なんかしないから。



だって自殺なんかしたら、あの汚い奴等に負けたことになるから。




あたし、生きるよ。お兄ちゃんの分まで。




だから、見守っててね。



お兄ちゃん―――…………