紅龍~キミと出逢えた奇跡~
「……空?」
「…あ、何でもない。」
そう、何でもないんだ。
ただ、無表情の翔が笑ったからドキッとしただけだ。
「…行くぞ。」
翔が窓から手を出し、空に向かって突き上げた。
回りにいた人達は、翔の合図と共にブォンブォンと爆音を響かせながら物凄いスピードで走っていった。
あたし達はその後ろを走る。
あたし達が乗っている車は、みんなに囲まれるようになっていた。
「翔、翔!窓開けていい?!」
「…あぁ。」
翔は目を細めて頷いた。
わぁ…。夜の街って綺麗だよね~…。
でも実際街に出てみると、全然綺麗じゃない。寧ろ、汚すぎる。
女をレイプするヤツ。
薬をやるヤツ。
無闇に喧嘩をするヤツ。
そんな汚いやつらのせいで、あたしはあんな思いしたんだ。
あんなやつら、大ッ嫌いだ。