紅龍~キミと出逢えた奇跡~
「…わっ!」
急に車のスピードが上がったから倒れそうになったけど、翔が受け止めてくれた。
「……空、掴まってろ。」
「あ、うん。」
あたしは翔の腕をギュッと掴んだ。
「ごめんね空ちゃん!ちょっと飛ばすから!!」
そう言ってカズは、素晴らしい運転捌きでグングン後ろのパトカーと差をつける。
カズは紅龍幹部専用の運転手で、翔の従兄弟(イトコ)らしい。
カズはあたし達より3歳年上の20歳。
大学は行ってなくて、組に入ってるとか何とか…。
「翔、上手く撒けたぞ。…倉庫に戻るか。」
「あぁ。」
何か、眠くなってきちゃった。
あたしは翔に身を預け、瞼を閉じた。
「おやすみ、空。」
翔の声が遠くに聞こえた――――――………………………