紅龍~キミと出逢えた奇跡~

お酒禁止!



夢を見た。


まだお兄ちゃんが生きていて、お母さんもお父さんも優しかった頃の夢を。



あの頃あたしはいつもお兄ちゃんに着いていって、お兄ちゃんのマネばかりしてた。



そして、そんなあたしを見て優しく微笑む両親。




どこから見ても、幸せな家族。



「…―して……なの…――…」



夜遅く、お母さんとお父さんが真剣な面持ちでリビングで話しているのあたしは見てしまった。


その時のあたしはまだ幼かったし好奇心旺盛だったから、ただ“好奇心”で話を盗み聞きした。


それが、間違いだったんだ…




「あの子のせいでっ!あんな気持ちの悪い子要らない!!」




――え…?



―――そっか…


あたし、此処にも“居場所”は無いんだね…



もう、疲れた…



あたしは小さいながら、お母さんの言った言葉を理解した。



もう、此処には要られない――……






次の日。



あたしはお兄ちゃんに置き手紙を残し、家を出た。





それからあたしは、人を信用しなくなった。


どうせ信じたって、裏切られる。


だったら最初から、信じなければいい。





“仲間”なんて―――…………










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