【COLORS②】僕の彼女はお姫様
「なんかさ、時々思うんだよな」
「何を?」
「どきどきして、わくわくして、ハラハラするくらいスリルある退屈しない日常ってあったりしないのかなって……さ」
「そんなの簡単。お前モテるんだし、カノジョつくったらいいんでないの?今朝だって下駄箱にいっぱい入ってたじゃん、ラブレター」
カノジョ……ねぇ。
「そんなもんなのか?」
鉄平(てっぺい)の言うことにかなり疑問を抱きつつも、
「健全なる男子高校生ならば、当たり前ことであると思うのだが……もしかしてお前、『男』が好きとかじゃないよな?」
耳を傾けてしまっている自分が居て。
「ば─か!!んなわけねーだろ!!俺は至ってノーマルだ!!!」
しかし……毎日のように、かわいい子からラブレターを貰って、好きだと言われても、俺の心の中に響かないんだよな。
別に女の子に興味がないわけじゃないのに──
「まぁ、いずれお前にも『運命の人』ってのが現れることを願うぜ。じゃ、俺こっちだから。また明日、学校で」
「ああ……」
『運命の人』……か。
そんなもんそう簡単に現れるわけね─よな。
漫画やドラマじゃあるまいし、
人生が自分の都合よくいかないことくらい、
十六歳の俺にも分かるってもんだぜ。