愛を知るまで離さない
「楢澤さん、誰に手を振ってるの?」
「!!!」
突然顔の横から覗いてくるものだからビックリして目を見開かせてしまった。
勿論、他の生徒はこちらを好奇な目で見る。
…あ、やばい…
目立ってしまったと思い、取りあえず“すみません”と平謝りをしてその場を繕った。
「先生、近いです」
「ん~…だって君、いつも外ばかり見てさ黒板見てないよね?」
先生はにっこりと口角を上げて笑って見せた。