愛を知るまで離さない
例えばこんな…


今日の宿題集めてきてとか、準備係を探してきてとか…


「今日は君が残っててね。実験に使った試験管とか片付けたいから」


とか……………





…………………ん?


「楢澤さん聞いてる?」


呆気らかんとした私の表情を伺うように先生は私に聞いてきた。


「………」


またか…。と思いながらまた心の中でため息をつく。

最近何回ため息をついただろうか。考えられないくらいついてる気がする。


「流羽!!霧生先生困った顔してるよ!返事したげて」


隣でコソコソと教えてくれた親友の各務 麻耶〈カガミ マヤ〉唯一私のこの苦悩を知ってくれている人。


「……楢澤さん、ダメかな?君が一番頼みやすくて」


こんな嫌々してる私が一番頼みやすいなんて人のことを考えたことあるのか、と思う程図々しい発言だ。


それでも諦めず私に手伝わそうとする先生に私が折れて、結局いつものように…


「分かりました」


とこんな会話が成り立つ訳だ。

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