愛を知るまで離さない
霧生櫂
忘れもしない、
あの日、真夜中の公園のブランコに座って静かに泣いていたキミを。
包み込んであげたくなるくらいとても弱々しくて、寂しそうな表情をしていたキミを。
どうしたの?
と声をかけても、キミは何も言わず壊れた人形のように僕を見詰め返してくる。
大丈夫?
って諦めずに声をかけたら、キミは目を伏せて掠れた声でこういう。
大丈夫だったらここに居ない。
必死に振り絞った声なのはよく分かった。
そんなキミを守りたいと思うのはおかしなことなのだろうか。