やくざと執事と私【第3部 下巻:ラブ&マネー】
叫び終わった後、龍一は、ゆっくりと黒のスーツを脱ぎ、そして、右手を白いシャツの首もとにかけると、一気にシャツを引きちぎった。
ビリィィィ・・・・・・。
布の破れる音が、短く部屋に響き、ちぎれたボタンが、龍一の周辺に飛び散る。
上半身裸の状態になった龍一。
龍一の周りには、破り捨てた執事服が、無残に捨てられていた。
「・・・執事・・・失格です。」
思いつめた表情で、龍一がつぶやいた。
そして、それから30分後、笹山組組長の屋敷から1台の大型バイクが、飛び出していった。
大型バイクは、ハーレー。
日本人では、なかなか似合いにくいそのハーレーに、異常にまで似合った乗り手。
サングラスをかけており、顔全体を見ることはできないが、知っている人が見れば、すぐに誰が乗っているかわかった。
「し、執事さん?」
たまたま、屋敷の前でバイクが出るところに出くわしたサブが、驚いて声を上げる。