最果ての月に吠える
そう、とリューネは小さく言って車内に入るとシートに深く身を預けた。





「リューネはまだ、傷が痛むかい?」





微笑みの内側に潜ませた感情を見せないようにリューネは顔を背けた。





「たまにね」





一度だけ僕に教えてくれた。





リューネの胸に残る傷の話を。





だから心臓外科医になりたいのだと。





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