最果ての月に吠える
だったら君に会いたいと願う愚かなオレは―――





「リューネ。これが恋なのか? 教えてくれ」





リューネが微笑む。





空には白く鋭い光を放つ三日月が瞬く。





「知りたい? それとも、―――忘れたい?」





握る暖かな手に力強さが増した。





「忘れるということがわからない。―――怖い。怖いよ………リューネ」





オレにとって無知は恐怖で、忘却は死にも等しい。





「教えてあげる。何もかも、全部―――」





見つめるリューネの瞳は、オレを誘うオレンジ色の三日月だった。





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