最果ての月に吠える
「………先輩?」





オレは起きたばかりで薄目を開けて見つめるリューネの白い胸に輝く三日月の傷をそっと舐めた。





「先輩、寝てないの?」





リューネがオレの頭をゆっくり撫でた。





「寝たよ。夢を、見たんだ」





茶色いビー玉の瞳に映っている。





「どんな夢なの?」





幼い姿のコドモ。





「10歳の頃の記憶。父親が看護師の女と書斎でセックスをしている夢だよ」





ほら、桜の香りがするあの扉の影で見ている。





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