最果ての月に吠える
私ね、小さい時にアメリカで心臓移植をしたの。





日本では移植できないから。





その時に、ほんとうの里由祢(リユネ)は死んだ。





今の私はドナーになったコドモの命を奪って生きているの。





今でも時々夢に見る。





金髪の少女が父親に言われて見知らぬ男相手に売春している夢。





そして実の父親からのあらゆる虐待で彼女は死んだ。





初めてその夢を見た時、私は怖くて何日も眠れなかった。





でも、声が聞こえたの。





私の分まで生きてって。





心臓には魂が宿っているのね、なんてキレイ事は言わない。





だって、私を治すための借金が返せなくなって両親は自殺したんだから。





< 129 / 174 >

この作品をシェア

pagetop