最果ての月に吠える
深く吸い込み肺を満たした紫煙が肺胞に黒いタールを残し、天蓋へと吐き出されていく。





淡く褐色に色付き規則正しく上下を繰り返す彼の汗ばんだ胸をそっと舐めると、やっぱりしょっぱかった。





そんな私を見た彼は口元だけに笑みを湛(タタ)える。





もっと見せて。





優しさなんて欠片もいらない。





今すぐほしい。





それだけ。





冷たく固く閉ざされた心を隠す皮膚を啄(ツイバ)み、穏やかに反応を始めた乳首を愛撫する。





もっと見せて。





私の奥に眠る赤い衝動を貫いて。





そして、私を壊して。






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