最果ての月に吠える
そんな私でもね、タカムラさんといる時はただの女のコでいられた。





愛人契約している相手なのにバカみたいでしょ?





心に棲み着いた少女の幻想も、心臓外科医になりたいって夢も、幸せそうにヒカルの話をするカズネの笑顔も、自殺した両親のことも、どこか遠い国の知らない誰かの話のように思えた。





それでも私に人並みの恋愛をさせてくれたタカムラさんには感謝してる。





大江先輩を見ているとそう思うんだ。





純粋なまでにトモエさんを愛している。





ただ傍にいることが、当たり前の毎日が永遠に続くと思ってる。





だけど、それを不意に取り上げられたらヒカルはどうする?





私はタカムラさんに会えなくなったらきっと耐えられない。





電話が鳴るたびに高まる鼓動を恋だと愛だと呼ぶなら私はタカムラさんにほんとうの恋をしていた。





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