最果ての月に吠える
僕の心を揺さ振る文字の羅列をゆっくりと読み返し終えた頃、古びたパジェロは海岸に近い場所に立つ建物の前に止まった。





白い壁の正方形のブロックをいくつも重ねたような幾何学的な建造物。





自然をそのまま残した広い庭には僕の友人のフンボルトペンギン達が我が物顔で闊歩(カッポ)している。





フンボルトペンギン保護管理センター。





僕の新しい職場。





まだ真新しいその建物からジョーイに呼ばれて出てきた男性。





ボサボサの頭、無精ヒゲを触りながら僕を見付けると軽く手を挙げて微笑んだ。





よれたTシャツと使い古したジーンズをシワだらけの白衣で包み込んだ彼は初めてシンポジウムの会場で会った時より肌が浅黒くなっていて、白衣がなければ地元の住民かと思えた。





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